次々と空から落ちてくる雫。
自分に当たる所がひんやりしていく。
『……気持ちいい……』
小さな声でそういった。
きっと雨の音で消えただろう。
「斎藤…さん?」
横目で声の主を見ると
だった。
『どうしたんだ?こんな所にいると風邪を引くぞ』
「それは私の台詞です、雨に当たって…お身体を壊したらどうなさるんですか」
『雨に当たっていると気持ちいいんだ…
今日も人を殺した…その罪が流れていくようで』
「私に人を殺す…はよく分からないですけど、
自分の過ちが流れていくような気はします」
そう言って
も雨に打たれる。
『少しも事実は変わらないがな…
は何を過ったのだ?』
「私は……毎日です」
『………?』
「皆さんに助けてもらい、お役に立てない、それが私の過ち…
毎日毎日、今日は何かお役に立とうと思ってもできない」
『アンタは俺たちの手助けに十分なっている、だから過ちなどではない』
雨に打たれた
は此方を向いて微笑む。
その姿は綺麗だった。
「ありがとう…ございます」
『さ、中に入るぞ、このままでは風邪を引いてしまう』
中に入ると、ポタポタと床に雫が落ちる。
「あ、何か拭くもの持ってきますね!」
『あぁ、すまない』
戻ってきた
は悲しげな顔をしていた。
『あぁ、ありがとう』
その後、少しの沈黙が過る。
『何故おまえは悲しげな顔をしいる』
「っ」
俺の言葉で更に悲しみがこみ上げてきたのか、
の頬に涙が流れた。
「聞いてもらえますか?私のもう一つの過ち…」
『それは、俺に解決できるものか?』
「それは分からないです…苦しみになるかもしれません…
でも、喜びにもなるかもしれません」
『できるものなら全力を尽くそう』
「私の過ちは……あなたを愛してしまったこと……
愛してはならない人…こんなに近くにいるのに遠い存在」
目を赤くし、俺を見つめる瞳はとても綺麗だった。
『……それは過ちなどではない…人を愛す…立派なことだ。
俺もおまえを愛している』