貴方の生きがいは








、ちょっとこっちこい』


「はい?」


持っていた湯飲みを置いて土方さんの前に正座する。

すると土方さんが私の胸に顔を埋める。

「うわっ」


『何だ?嫌なのか?』


「い、いえ!全然!ビックリして」

『あぁ…すまん…今日は頑張りすぎたかな…』

「眠いですか?」

少し、と言いながらウトウトと瞬きをする。


の、香りがする…』


サラサラとした髪が私の手に絡みつく。


土方さんを見ると、目をつむっていた。


「寝ちゃった…かな?」

、好きだぜ』




……起きてたんだ……



『好きだ』


「ありがとうございます…どうしたんですか?」


『たまには気持ちを伝えなければお前、不安がるだろう?あと、言いたかったからだ』



「ふふっ、ありがとうございます」





どうしてこの人は私の気持ちが分かるんだろう?

私の膝に転がっている土方さんの額を撫でる。

長い前髪で隠されていた額が見えた。

私の前にいる副長は優しい表情をしている。

“鬼の副長”と呼ばれているなんて思いつかないほど。





『お前は?』


「え?」

『俺だって気持ちを伝えてくれねぇと不安になる』


子供みたいな目で見る。


綺麗な瞳で。


「好き、です」


『ま、言わなくてもわかってたけどな』

「だったら…!」


『俺は の純粋で綺麗な心も澄んだ瞳も全部好きだ…』


そう私を見上げて言う。


「私は皆さんのために働く土方さんも好きです。夢を追う土方さんも、
優しい面も、怖い面も、正直、土方さんの全てが好きです」


『あぁ…ありがとう』

「眠いですか?」

『あぁ……』

「もうお休みになりましょ」


私の膝にある土方さんの頭を優しく手で包み、自分ごと横になる。


土方さんの寝息が聞こえ、眠りについたことに気付く。


土方さんを抱き寄せる腕に力が入る。


「あなたを失いたくない…あなたの生きがいが戦うことであっても…
決して私があなたの生きがいになることは願わないから…
私の生きがいはあなた……私の前から消えないで…」


涙がこぼれないように、

土方さんに気付かれないように。

そして、私も眠りにつく。

その日の夢は土方さんがいた。

あまり良く覚えないけど、最後に土方さんがこう言ったことは分かる。

『俺はお前の傍に居る。
居続ける…俺はお前を失わない…俺はお前がいないと生きられない』


土方さんは私の不安を消し去ってくれた。





『……』

は毎晩のように涙を流しているのか?

涙で顔を…

『悪いな……結局お前を…… を不安にしちまってたようだ…』

を起こさないように涙を拭う。

「ぅ…ぁ…ひじ…かたさんっ…」

『まだ泣くか…』

拭いても拭いても涙が零れ落ちる。

『俺はお前の傍に居る。
居続ける…俺はお前を失わない…俺はお前がいないと生きられない』

この思いが に届くように。