甘い







そよそよと風が吹く。


優しく、優しく…僕の髪を撫でる。


少し日差しが暑い。


もう、春が終わるんだな…


ビュウッと風が吹いて、僕の顔にかかった髪が広がるように靡く。


『そうだ、 ちゃんをお茶に誘おう』


上機嫌で ちゃんの部屋に向かう。

あ、2人でお茶を淹れよう。


ちゃーん?一緒にお茶しよ?』


襖を開けると着替える途中の ちゃんがいた。

クッキリと ちゃんの身体のラインが見えてしまう。


「え?うあ!!沖田さん!」


『あ…ごめんね、着替えたら声掛けて?外で待ってるから』


ビックリした…

こんな僕だけど、こういう時は内心緊張するんだよな…


顔、赤くなってないかな…?


「き、着替えました…」

『そう?入るよ?』


再び襖を開ける。


カァっと顔を赤くした ちゃんがそっぽを向いていた。


『ごめんね、 ちゃん』


「いえ、大丈夫です」


『今日、天気もいいし、一緒にお茶しない?』


「あ、いいですね!じゃぁ、皆さんも…」


『ダメだよ、 ちゃん…今日は2人でするの…久しぶりに甘い一時にしようね?』


ちゃんの頬に軽く口付ける。


「もぅ…」


『じゃ、お茶淹れに行こうか、あ、お茶請けはイチゴ大福だよ』


前もって持ってきといたイチゴ大福をみせる。


「イチゴ大福ですか?大好きです!」


さっきまで照れていた表情もパァっと明るくなる。


ちゃんが2つ湯飲みを持ってくる。

そして僕がお茶を淹れる。

『大丈夫?僕が持つよ』

ヒョイッと ちゃんが持ったお茶を持つ。

「ありがとうございます」


『ここだよ、すごく風通りがいいんだ』

「わぁ、本当だ」

風通りの悪い屯所では珍しい場所だ。

ちゃんが目をつむって風を感じる。


その姿がとても綺麗に見えた。





漆黒な髪が靡く。







サラサラと…


ちゃんの香がしたような気がした。

『食べようか』


「はい!」


嬉しそうにこっちを見る。

『どう?美味しい?』


「はい!とっても美味しいです!私イチゴ大好きなんです」


口元にアンコを付けながら笑う。


可愛い…

が無邪気で…


時々すごく思う、

こんな僕が の傍にいて良いんだろうか?

こんな僕が…

君を汚してしまわないだろうか?



、アンコついてるよ、とってあげるよ』


そういって器用に舌で舐めとる。


「わっ」

『ん…美味しい』

わざと の前で舌を出してみる。


「もう!沖田さん!」


『僕のイチゴ大福、欲しい?』

僕から…、と言葉を付け足した。


の目がトロンとする。


意味が分かったんだ。

「はい…」


僕は少し大福をかじり、

に口付ける。

その口付けは甘くてたまらなかった。

大福の甘さだけじゃない。


が甘いんだ。

「ん…おいし…です…」


『そう?良かった』

僕らの口付けは激しさを増し、続いていた。


「ぁ……んんっ…息、でき、ない…ぁ」

っ好きだよ』


「は…ぁ……私も、ん…沖田さんのこと、大好きで、す」

僕は絶対君を逃がさない、


離さない、
離れない、
失わない、
手放さない…


だって…僕が初めてドキドキして、心から愛おしいと思った人だから。