僕だけを見ていて欲しい。















ー?ご飯まだ?』



「待って下さいね、ふふっ、総司さん子供みたい」


『早く君の作った料理が食べたいんだよ』


そういい料理をしている を後ろから優しく抱く。





「はい?」







『大好きだよ』










「…私もです」


『……っ!』

「総司さん?どうしたんですか?」

どうしてこんな時に…




『ゴホゴホッ……ごめ、ね』





「総司さん…!大丈夫ですか!?」



僕は手についた血を眺めながら と話す。



『大好きだよ、君の洗濯物を干してる君も・・・・っ、甘える君も、
怒ってる君も、笑ってる君も、可愛い反応をしてる君も…
全部好きだった…いや…今も…好きだよ』



「喋っちゃダメ!」



『そうだ…今日は一緒にお風呂に入ろうよ、一枚の布団で手を繋いで寝よう』


「総司…さん…」


解る。

もうすぐ僕は死ぬんだ。

自分のことは自分が一番よくわる。

でも、自分より僕のことを知ってる人がいるかもしない。

例えば… とか。

「死にに逝く準備をしないで…っ!もっと・・・一緒に居たい・・・」



『君との思い出が…いっぱい欲しいんだよ!
前まで新選組にいた時は近藤さんのために命なんて投げ捨てれた…
でも!今は……君と1秒も離れたくないんだよ…離れるのが、怖い・・・・怖いんだよっ・・』

の顔が悲しそうにこっちをみている。


「大丈夫です…私はずっと総司さんの隣にいます」


『何言ってるんだよ…僕が死んだら会えないんだよ?』


「はい、私も一緒に…私だって貴方と離れるのは怖いですから…
あと、総司さんを一人きりにするのが不安です」



・・・ダメだよ…そんなこと言うな…僕のために死ぬなんて良くない』


「私がそうしたいんです」


…』


いいのかな、甘えちゃって…ダメだと思ってるのに…
その言葉が嬉しくてたまらない…

否定したくない

一人で逝くのは不安だ。



『ありがとう…きっと、土方さんがいたら僕怒られちゃうよ』




「そうかもしませんね」



が笑う。


悲しい笑顔で…


『ねぇ、 …僕はいつも笑う の笑顔でこの病と戦う勇気が少しずつ出た、
強くなれた…病気の時だけじゃない…激しい戦場に行くときだって。
いつもまでも君の笑顔が見ていたいんだ…いつもの笑顔で笑ってよ』



「そうです・・ね…これからも一緒だから」


涙ぐんだ目だったけど、いつもの笑顔で笑ってくれた。


何度この笑顔に救われただろうか?


愛おしい…。

ずっと…この優しい笑顔に包まれていたい。


、初めて僕が君に会った時からの話をしようか?』


「はい・・・」


『最初はね本当に面倒だと思ったんだ、ゴメンね』


「…」


『早く斬ろうよと思った』


「そ、そこはとばして下さい!」






『そうだね、で、屯所での君との暮らしにだんだんと慣れて、
可愛いなって思いだしたんだ、
でも好きな気持ちにはまだまだ気付いてなかったんだけど、
きっと好きになる自分を否定してたんだ』



真剣な目で話を聞く

恥ずかしくなる。






『それで風間から君を守ったことあったよね、池田屋の時だよ。
必死で守ったんだ…その時にこの人を絶対失いたくないと思った…
僕が弱いせいで君を巻き込みたくなかったんだ。
初めから好きだったんだろうけどあの時…
初めて解ったんだ、君が好きだって
でも、あの時の僕、すごく格好悪かったよね』



「総司さん…」


『あはは、泣かないで…』


「総司さんも少し涙目です」



溢れてきた涙を が拭う。


の香りがもっと涙を溢れさせる。


僕らしくないな…泣くなんて。


『僕が羅刹になって、夜に働くようになった時に、薩摩と戦ったでしょ?
そのとき、僕が持ち場を離れて、
近藤さんの仇を撃ちに行こうとして私闘した時、君が止めに来てくれた。
放っておいて欲しいっておもった。
でも、 が正しいって分かって僕は近藤さんのことを考えてたつもりだったんだけど、
全然近藤さんの気持ちを解ってなか
った… ってすごいなとも思った。』


「そんなこと無いですよ…総司さんは近藤さん想っての行動だったんですから」



恥ずかしいから、言わないけど、僕は のことをすごく尊敬してたんだ。


人の気持ちがわかる子だったから…。



『そのあと、薫に会ったんだ。
君も僕を追ってきてくれてて、たくさんの銃に囲まれた時、
カッコ良く助けられなくてゴメン
…君も辛いおもいしたよね・・・
銀の銃弾のおかげで大分と寝込まされたね…
目を覚ますと がいた、嬉しかった…一番に の顔を見れるのが…
でも心配だったんだよ?僕のせいで身体でも壊したら…って』




「わかってたんですけど、あの時は自分のことより総司さんが心配だったから…」


『ありがとう…
それから、松本先生から離れてすぐに薫に…薫に会ったんだ…
それで……僕が薫を殺すのをためらって… を羅刹にしてしまった…
あの時は本当に自分自身を憎んだ!後悔した…あの時薫を殺してれば、
君は苦しまなくていいと…でも、君は僕を責めなかった、優しく接してくれた。
そのおかげで少し気持ちが和らいだ』




そう、話した後少しの沈黙が流れた。



『……近藤さんが投降したって聞いて僕は関係ないひとにも迷惑をかけたとき
が叱ってくれて、冷静に考えて、考えて…今、僕がやるべきことを選んだんだ』

「その後で土方さんのところにたどり着いたんですよね」

『そのとき、僕が土方さんのこと思いっきり殴っちゃったんだね』


『僕こんな性格だし、君を直ぐにいじめちゃうから絶対嫌われてるとおもった、
手に入らないと思ったよ…だからあのとき初めて と口付けができて嬉しかった』

「私…も…です!」

『泣かないでって言ったでしょう?』

血のついた手で の顔に触れる。

僕の色で染めたかった。

こんな時くらいいいでしょ?

の事を独り占めしたいんだ。

子供だなって言っていいんだよ?


君を独占したい。


最後に無理に口を押し当てた。

これが最後の口付けだね。

の味は優しい味。

も僕の事忘れないで。


『ん』

「そう、じさん」

『ゴメンね、血で汚れちゃったね、洗いに行こっか?』





君はきっと僕が死んだら後を追うだろうね。



だから文を置いておくよ。



僕の永遠の君への想いとね。