オレだけじゃねぇよ












「言って欲しいです」





『え?』






「平助くんに」

『なにを?』
「好きって」


『……』
『へ…!平助ーちょっと来てくれ!!』


『あ、はい!』

そう言って の前から去った。

言って欲しいですってどういう意味なんだ?

オレは期待していいのか?

『何?左之さん、慌ててたみたいだけど』


『あぁ、今、総司と腕相撲やってんだけどよ、平助もやろうぜ?』


『何で慌てて呼んだの?』


『その方が速く来るかなと思ったんだが…タイミング悪かったか?』


『悪すぎだよ!!』


『いいじゃない、平助そんな怒んなくても…どうせ ちゃんといたんでしょ?』


『わざとかよ!!』


『俺はわざとじゃねぇぞ?』


『せっかく来たんだし腕相撲やろうよ。
僕、左之さんには勝てなかったけど平助には勝つ自信あるよ』


『何なんだよ…』


その腕相撲は二人に馬鹿にされて終わった。









『… …あ、あのよ…前に言ってた事なんだけど』


「はい?」

『オレに好きって』

『平助ぇぇ!ちょっと来いぃ!』

『ええ!?』


これは何なんだ?


嫌がらせか?


新ぱっつあんの声だ…


『ま、またあとでいいや…ゴメンな』


『何…?』


『囲碁の相手してもらおうと…』


『馬鹿ー!』

『……何だ?あいつ』

『おい新八…純粋で繊細な少年を傷付けたな…』


『意味わかんね…左之』








こうなったら最終手段だ!


大好きなあの子の部屋を訪問♪


『…… !』

勢い良く の部屋に入る。

身体に衝撃があった。


そのまま前に倒れてしまう。


何て事だ…


オレとしたことが!

を押し倒すなんて!


!』


「ん…平助くん?」

『ゴメン! …』


「大丈夫だよ!」

『あの、さ…』

「な、なに?平助くんあの、身体が…顔が近いよ…」

『いいんだ…オレ、今日こそ言う』

『平助ー平助ー』


「よ…呼んでるよ」


『…くっ……』


どうしよー行くべきか?


いや…行かねぇ



が好きだ』


「ありがとうっ…嬉しいです・・!」


涙目でそういう


なんて愛らしいんだろう?
なんて愛おしいんだろう?
なんてオレは幸せなんだろう?


「私江戸にいるときも一人だったから平助くんみたいな優しい男の子に逢って、
 この人の傍にいたいって・・・おもったんだ・・・」

『じゃ・・・これからずっとオレの傍に居ろよ?』

「うん!!そう言ってくれるのは平助くんだけだよ・・・」

『んなことねぇよ・・・・オレだけじゃないね・・・・
ここまでくるのに結構そういう奴ら見たぜ? が好きだって・・・』







『作戦失敗だね、左之さん』

『みたいだな』

『なんとかしろよな、 ちゃん取られちまったじゃねぇか』









『やっぱ、 を好きなのってオレだけじゃねぇんだな…』