僕の顔は見せれない
彼女は―――何をしているのだろう───
きっと、洗濯物でも干しているのだろう。
「斎藤さん、どうしたんですか?」
『いや…、何でもない、手伝おう』
何もかもが予想通りで少し可笑しい。
きっと、俺が手伝おうとすると俺を無理矢理座らせて休ませる。
は優しいから・・・・・
新選組に縛られている身なのに、いつも俺たちの事を気遣ってくれている。
俺は、
のそういう所に惹かれたのだろうか・・・・?
「わっ!大丈夫です!斎藤さんは其処で休んでいて下さい!」
そう言って彼女は俺を座らせた。
「せっかくの休みなんだから、ゆっくりして下さい!斎藤さん」
そう、俺に言って、
が洗濯物を干し始める。
俺は素直に座って、洗濯物を干し始めた
をじっと見つめていた。
「ん!」
『?
?何をしているんだ』
さっきまで、ピョンピョン跳んでいた
がこっちを向く。
「…洗濯物が…竿の先に…」
『あぁ、待て、俺がとってやる』
「あっ、ごめんなさい」
『気にするな』
俺はヒョイと竿の端にかかった洗濯物を取った。
竿の箸から取った洗濯物を受け取ろうと近づく
、近づいてくるにつれ、
から甘く、良い匂いがする。
同じ生活なのに、同じ物を使ってるのに・・・。
「ありがとうございます、斎藤さん」
『あぁ…』
何故、男と女は別々の者にしたのだろう?
俺より小さい身長……
柔らかそうな肌……
小さな唇……
俺と違う全ての事が愛しく感じる……
『なぁ、
…此処にいて楽しいか?俺たちの事は好きか?』
「どうしたんですか?急に…」
『いや、楽しくなかったら此処にいるのは嫌だろう?だから……』
「ふふっ、ありがとうございます、此処にいてすごく楽しいですし、皆さんもすごく好きです。」
『それなら…いいんだ、良かった』
「もしかして、斎藤さん…心配してくれてたんですか?」
『あっ、当たり前だ!』
慌ててそう言うと
はフフッと笑って、ありがとうと口にした。
それに続けてもう一言。
「私は斎藤さんに心配されるほど、元気が無かったですか?」
はさらにショボンとしてこちらを見る。
『あぁ、少しはな、でも、何か理由があるんだろう?』
「……斎藤さん…すごいですね!!どうして分かっちゃうんですか?」
さっきの
とは別で、元気いっぱいに声を上げる。
「実はですね、皆さんの羽織りを直そうと思ってたら、結構量が多くで…
徹夜してたんです、心配かけてごめんなさい」
『あぁ、俺たちのためにありがとう』
「いぇ、私は居候の身ですし、大丈夫です」
『しかし、今日は部屋でゆっくり休め』
「でも…」
俺は
の頭をポンポンと優しく撫でて、洗濯物に取りかかろうとする
を抑える。
『大丈夫だ、後は俺がするから』
「斎藤さんってすごく優しいですよね…つい、甘えちゃいます」
少し照れたようで頬赤く染める。
『
夏だけにだ』
「どうしてですか?」
『……~~……それは、
が好きだからだ。』
「え?」
俺がチュッと
の額に口付けをし、早く休めと
の部屋の方向に肩を押す。
キミに俺の顔見られないように……。